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「武器と市民社会」研究会

2007年5月に設立された「武器と市民社会」研究会の公式ブログです

ATT交渉:26日草案の「抜け道」

2012年7月ATT国連交渉会議の最終日前日となった7月26日(木)午後4時30分前後、修正版の条約草案が配布されました。草案は、昨日の記事からアクセスいただけます。

26日(木)の本会議(公開)は午後6時前後に終わった後、午後10時から夜中の1時まで本会議(公開)が開催されました。今日は朝からNGO会議で、10時からの本会議では、26日草案への各国の意見表明が続いています(現在、12時45分)。今日の午後から夕方までに、修正版がまた提示されるのではと噂されています。

条約の最初から最後までの分析をする時間がありませんので、以下、NGOなどが指摘している主要な「抜け道」を紹介し、それぞれの「抜け道」がどの国の意見を反映しているのかを記します。昨日の記事で紹介しましたような議論のなかで、「抜け道」を作るような妥協をすることで、どの国の合意を得ようという試みがあったのか、浮かび上がってくるのではと思います。

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【1. 防衛協力 第5条】
第5条2には、締約国の防衛協力合意(defense cooperation agreements)のもとでの契約義務を無効にするものではない、とされているため、武器の移転の際に「防衛協力である」という形にすれば、条約の規制をのがれることができることになる。
どの国の意見によるものか:インド

【2. 移転ではなく貿易 第2条】
第2条B(3)の行為の規制対象は「通常兵器の国際貿易(international trade in conventional arms)」と書かれており、詳細な定義はないため、贈与(譲渡)や貸与等(例:軍事支援プログラムを通じて譲渡する場合)は規制対象外という解釈もありうる。
どの国の意見によるものか:中国

【3. 条約改正 第20条】
7月24日草案では、改正については「コンセンサス」での合意が無理ならば、参加し投票した国々の3分の2による合意が可能になっていた。しかし、26日草案第20条3では、「コンセンサス」としか書いていない。後で条約内容を強化することなどが困難になる
どの国の意見によるものか:アメリカ

【4. 弾薬の規制 第2条、第6条】
弾薬(ammunition)は、第2条の条約の規制対象には含まれていない。ただし、今回の草案では、第6条の「輸出」の項目に、移転許可基準の一部を適用して輸出許可の判断をする旨が書かれている。ただし、適用しないことになっている基準もある。また、弾薬の輸入、仲介、通過・積替に関しては規制対象外である。さらに、弾薬は、各国による記録や報告の対象にならない。また、弾薬(ammunition)という表現で手榴弾などが含まれるのか曖昧である。
どの国の意見によるものか:アメリカ

【5. 人権、人道等の移転許可基準 第4条】
第4条5は、国際人権法の重大な違反(serious violations)に使用される等の可能性を検討し、「決定的な・優越的な(overriding)リスク」がある場合は、武器輸出を許可してはならない、とされている。この表現は、以前の非公式文書や草案にはない、初めて使用された表現と言えるが、この「決定的な・優先的なリスク」の意味が不透明である。
どの国の意見によるものか:アメリカ

【6. ジェノサイド、戦争犯罪 第3条】
24日草案も26日草案第3条3も、ジェノサイド、人道に対する罪や戦争犯罪についての文言は、これらの行為の遂行を助長する意図で(for the purpose of facilitating the comission of...)この条約の規制対象の兵器を移転を許可してはならない(shall not)、としている。これらの行為の遂行を助長する明確な意図をもって行うことはしない、という限定的な文言であり、「リスクがある」という程度は含まれなくなる。
どの国の意見によるものか:アメリカ(ただし、アメリカはこの表現を提案したものの、他の国々がより明確で広範な意味の表現を提案すれば、特に反対しないと言われている。)

【7. 報告書の公開 第10条】
24日草案では、各国が提出した報告書が実施支援ユニットによって一般公開される旨が書かれていた。26日草案第10条4と5では、一般公開される旨が書かれていない。
どの国の意見によるものか:明確ではない(中国やロシアなどと言われている。)
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(作成者:夏木碧 「武器と市民社会」研究会事務局担当。2003年より、国際NGOオックスファムにて人道/軍備管理・軍縮分野を担当。ATT関連の調査・研究や国内・国際会議の企画・調整等を行う。4週間のATT交渉会議に参加している。)

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