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「武器と市民社会」研究会

2007年5月に設立された「武器と市民社会」研究会の公式ブログです

2012年2月 ATT国連準備委員会第四回 結果解説

2012年2月13日(月)から2月17日(金)まで、ニューヨークの国連本部で開催された武器貿易条約(ATT)に関する第四回国連準備委員会関連の結果と、その解説を掲載します。
過去の国連準備委員会の情報は、「武器貿易条約」カテゴリーの過去の記事でご覧いただけます。前回の記事で解説したように、今回の準備委員会での主な論争点は、以下の3点です。
論点A) 7月交渉会議の議長を誰にするか、および準備委員会を通じて議論のベースにしていた「議長インフォーマル文書」を何らかの形で7月条約交渉のベースにするかどうか
論点B) 7月の交渉会議での合意のルール:2009年国連総会決議では、7月交渉会議はコンセンサスで(on the basis of consensus)とされているが、この「コンセンサス」の意味、およびそれが必要な段階
論点C) 7月の交渉会議へのNGO参加の可否、および(参加可能な場合は)どの会合に参加できるかという参加のレベル

また、この準備委員会では、以下の2つの文書が合意される予定でした。
1)2010年からの4回の準備委員会全体の報告書
2)7月交渉会議の手続規則

【第四回準備委員会の結果】
論点A)の議長および議長非公式文書の扱いについては、1)の準備委員会報告書に書きこまれました。
a: 準備委員会報告書案(2月15日午前の第一草案)
注)修正が加えられた後、2月16日午後に修正案が配布され、おおよそ合意されました。その後、さらに修正が加えれられて会議最終日2月17日夕方に配布され、合意されました。
b: 準備委員会報告書(2月17日合意版)注)後で若干修正されることになっています

ただし、2)の手続規則案に書かれた、論点B)「コンセンサス」、論点C)NGOの参加に関する文言に関しては、議論が紛糾しました。
会議最終日の2月17日は午前から本会議もほとんど行われず、インフォーマルなコア・グループが、会議場の上の階のカフェで修正案の起草を始めましたが、午前の本会議が終わる時間の13時になっても出来上がりませんでした。
午後4時30分を過ぎても修正版は配布されず、合意が危ぶまれましたが、午後5時30分頃に配布され、本会議が始まり合意され、午後6時15分頃に閉会しました。
c: 手続規則(2月17日合意版)注)後で若干修正されることになっています

【上記合意文書の解説】
下記のとおり、合意された2つの文書では、今回決めようとしていた問題のほとんどを、実質的には7月の条約交渉会議までの間や7月会議中に持ち越しにする文言になりましたので、7月会議は極めて難しい交渉になることが予想されます。

b: 準備委員会報告書
議長については、「To request the Secretary-General of the UN to undertake consultations for the nomination of the President-designate of the Conference」と書かれているのみです。誰とは特定されていません。
2011年7月14日議長非公式文書については「which is annexed to this report and serves as one of the background documents for the Conference」:あくまで沢山あるバックグラウンド文書の一つである、という書き方です。7月に条約交渉のベースにする文書とは書かれていません。

c: 7月交渉会議の手続規則
「コンセンサス」:会場で異論がなければコンセンサスとみなすのか、拒否権を意味するのか、どちらともとれる曖昧な書き方です。手続き的な決定については、コンセンサスでの合意を試みたうえで、無理な時は3分の2の表決のオプションが残っている点は明確ですが、最終的な条約文書の合意に関しては曖昧です。解釈は7月会議での交渉中に持ち越され、そこで紛糾することが予想されます。

NGOの参加:「規則57-1 The plenary meetings of the Conference and its Main Committees shall be held in public unless the body concerned decides otherwise.」ノルウェー、EU、イギリスが頑張った結果、本会議だけでなく主要委員会へのNGO参加が可能になりました。ただし、それ以外の会合についてはシリアなどが強硬に反対し、規則57-2で「As a general rule, meetings of other organs of the Conference shall be held in private」ということで、基本的に非公開になりました。

【今回の会議での主要プレーヤーであった国・地域】
この会議で手続規則が合意されるように、あるいはコンセンサス=拒否権という解釈にならないように、もしくはNGOの参加のレベルが上がるように等、積極的・具体的に動いた国・地域は、ノルウェー、イギリス、EU、メキシコ、CARICOMでした。インドは、手続規則が合意できるよう妥協案を探るところで活躍しました。
交渉を最も難しくしていたのは、シリア、エジプト、キューバでした。アメリカもコンセンサス=拒否権という解釈にしようとしました。

【追記】
4月に日本軍縮学会より刊行された『軍縮研究』第3号(PDF公開)51-60頁に、2月のATT国連準備委員会の詳細な分析が掲載されています。


(作成者:夏木碧 「武器と市民社会」研究会事務局担当。2003年より、国際NGOオックスファムにて人道/軍備管理・軍縮分野を担当。ATT関連の調査・研究や国内・国際会議の企画・調整等を行う。)

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