「武器と市民社会」研究会

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「武器と市民社会」研究会第三十一回会合:開催報告

「武器と市民社会」研究会第31回会合を、以下のとおり開催いたしました。

【テーマ】武器貿易条約(ATT):2013年3月交渉会議の経緯と結果
【報告者】夏木碧(オックスファム・ジャパン ポリシーオフィサー)
【討論者】佐藤丙午(拓殖大学海外事情研究所)
【日時】2013年4月11日(木)19時00分から(18:30開場)
【場所】拓殖大学海外事情研究所 F館303教室 

レジュメに関するお問い合わせをいくつかいただきましたので、以下にレジュメの内容を掲載いたします。

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1. 1990年代以降:通常兵器移転に関する許可基準の進展

1)1990年代
・国連安保理、EU、OECD等:通常兵器移転に関する許可基準を議論&政治的文書の合意
・ノーベル平和賞受賞者、NGO、研究者等が、地域の枠を超えた条約形成の道を模索
2)2000年代
・先進諸国以外(東アフリカ、西アフリカ等)での移転許可基準文書の合意
・移転許可基準に関する、地域の枠を超えた条約形成を具体化する動き
 2003年10月からATTを求める「コントロール・アームズ」国際キャンペーン

2. 国連ATTプロセス

1)2006年国連総会決議
 →2007年国連総長コンサルテーション(各国が見解書提出)
  2008年政府専門家グループ(GGE):アルゼンチン・モリタン議長
2)2008年国連総会決議
 →2009年オープンエンド作業部会(OEWG):アルゼンチン・モリタン議長
3)2009年国連総会決議
 →2)の2008年国連総会決議では、2009年から3年間OEWG会合とされており、2010年
  から2011年にOEWG会合を4回設ける予定だったが、これを変更し、代わりに2012年
  交渉会議に向けた準備委員会(PrepCom)を4回開催することに。
 →2012年7月ATT交渉会議:アルゼンチン・モリタン議長
  コンセンサスで(on the basis of consensus)開催⇒決裂
4)2012年国連総会決議
 →2013年3月18-28日最終会議:オーストラリア・ウォルコット議長
  コンセンサスで開催⇒決裂
5)2013年4月2日国連総会 決議採択=ATT採択

3. 2013年3月最終会議:3月18日(月)から28日(木)まで

1)草案配布:①第一週水曜日(3/20)②第一週金曜日(3/22)③第二週水曜日(3/27)
  ①はLegal Scrub、②は規制内容を強めたもの、③は妥協案になると言われていた。
  →②で規制内容は強まらず、メキシコ・ノルウェー等の積極推進派が合意できるか
  どうかも不透明に。
2)第一週木曜日(3/21)、第二週月曜日(3/25)&火曜日(3/26)に、通常の午前と午
  後の本会議に加えて、夜の本会議(19:00-22:00)を予定していた。
  →第一週から、本会議(公開)で建前のステートメントを読み上げ、同時進行の非公
  式協議で実際の交渉という状況が続き、次第に本会議の意義が不明に→第二週の夜の
  本会議はキャンセル。非公式協議に。
3)最終日の3月28日、イラン、北朝鮮、シリアが正式に反対。
  手続規則のコンセンサスの解釈をめぐる論争の後、コンセンサスとは見做せないと議
  長が判断。
  日本では、「全会一致が必要だったため決裂」といった報道があったが、若干異なる
  ことに注意(コンセンサス≠全会一致)。
  ⇒4月2日国連総会へ

4. 各国の立場

1)「ATT推進国」自体は多い
  2009年 ATT国連総会 本会議決議  賛成151か国 棄権20か国 反対1か国
  決議共同提案国  2006年、2008年、2009年・・・全て110か国以上
2)「ATT推進国」は一枚岩ではなかった
  2009年国連総会決議  「Highest Possible Common International Standards
  (可能な限り最高の国際基準) 」の条約を作る⇔どのような規制内容を「可能な
  限り最高の国際基準の条約」とみなすのかは、ATT推進国のなかでも異なった。

2012-13_ATT_Groups.png

注: 上の表は、会議中の各国の動きを把握しやすいように整理した立場分けです。「積極推進派(Progressives/Progressive countries)」のように、会議参加国関係者やNGOによってインフォーマルに使われていた用語もありますが、全てのグループに具体的な名前が付いていたわけでも、「グループ」として行動していたわけでもありません。また、上の表は解説のための便宜的なものですので、全ての会議参加国を網羅してはいません。なお、より分かりやすくすべく、報告会後に若干の修正を加えました。

5. 7月交渉会議から3月交渉会議&4月2日国連総会までの各派の動き

1)妥協派とアメリカ・中国
2)妥協派と積極推進派
3)反対派と、支持国のなかの慎重派
【4)27日草案=4月2日に採択された条約】
5)妥協派と反対派: 決裂に備えた下準備
6)決裂の背景
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以上です。一番最後の5が報告の要でしたが、この部分は口頭でお伝えしたのみで、レジュメには詳しく書いておりません。ご了承ください。

(作成者:夏木碧 「武器と市民社会」研究会事務局担当。2003年より、国際NGOオックスファムにて人道/軍備管理・軍縮分野を担当。ATT関連の調査・研究や国内・国際会議の企画・調整等を行う。2013年3月と2012年7月ATT国連交渉会議、及びそれまでの4回の国連準備委員会の全てに参加。)

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