「武器と市民社会」研究会

2007年5月に設立された「武器と市民社会」研究会の公式ブログです

武器貿易条約(ATT)3月交渉会議決裂と4月2日国連総会採択

3月18日から28日まで、ニューヨークの国連本部で武器貿易条約(ATT)交渉会議が開催されました。
このブログ記事作成者は、交渉会議に参加し、ツイッターで会議の状況などを随時つぶやいておりました。

ツイッターでは先に報告をしておりましたが、3月交渉会議は決裂いたしました。
決裂にあたっては、イラン北朝鮮シリアが正式に反対しましたが、その他にも、正式な反対はしないものの、イラン等と同様の不満を声明で述べる国々が多くみられました。

 今回の交渉会議開始の直前に、4/2(火)の国連総会開催がアナウンスされていました。会議結果を議長が報告するだけとも考えられましたが、コンセンサス採択がブロックされた場合に、国連総会での表決に持ち込む可能性も噂されていました。

 以前の分析記事(その1その2その3)で解説した3月27日草案については、3月28日朝の時点でも、「防衛協力」条項についてインドが不満なのではないかという不安や、イランシリア等がコンセンサスをブロックする可能性についての不安が、会場周辺で聞かれていました。

 インドか、あるいはイランシリア等がブロックした場合を想定して、オーストラリアメキシコ等は、3月27日から28日午前中までには、3月27日草案を採択する旨の国連総会決議案を作成しており、NGOもドラフトを目にしていました。決議案は、こちらでご覧いただけます

 推進国側の動きは、インドイランシリア等にも知られており、これらの国々がブロックしたところで、数日後には国連総会で採択されることは明白でした。ですので、わざわざ3月28日の採択をブロックして悪者になる意味もないのでは、とも言われていました。言い換えれば、議長および「妥協派」の国々は、メキシコなどの「積極推進派」を取り込み、4月2日の道筋をつけることで、インドイランシリア等を追い込もうとした、とも言えます。

 3月28日午後の会議場は、採択を期待し「その瞬間」に立ち会おうとした政府、メディア、NGOの関係者で溢れかえり、入場制限が行われたほどでした。しかし、その頃、東南アジアの某国の政府関係者は、アジアのNGOに「少なくとも2か国は確実に反対する」という情報を伝えていました。そして、イランの大使は顔に笑みを浮かべながら会場入りしました。

 なぜ東南アジアの政府関係者が、反対する国々について知っていたのか?このような決裂に至るまでの細かい背景は、4月11日(木)の報告会でお伝えします。もしご都合にあいましたら、ぜひご参加ください。

 3月交渉会議における交渉決裂が明確になった後、既に用意されていた上記決議案について、ケニアが声明のなかで言及し、配布しました。多くのATT推進国が、国連総会での採択を支持する発言をしました。

 そして、翌週の4月2日(火)、国連総会でこの決議が表決により採択されることで、武器貿易条約の採択に至りました。表決の結果は、賛成156か国、反対3か国、棄権22か国でした。最初は賛成154か国と発表されましたが、しばらくして、アンゴラは棄権ではなく賛成であったことが分かり、155か国に訂正されました。さらに後日、カーボベルデが不参加ではなく賛成に訂正され、賛成国数は156か国になりました。

以下は、賛成、反対、棄権、不参加を示した地図です。
20130402 Vote Record Map

より大きい&クリアな地図は、以下の画像をクリックするとご覧いただけます。
20130402 Vote Record Map_2

反対国(赤)3か国: イラン、北朝鮮、シリア
棄権国(黄色)22か国: バーレーン、ベラルーシ、ボリビア、中国、キューバ、エクアドル、エジプト、フィジー、インド、インドネシア、クウェート、ラオス、ミャンマー、ニカラグア、オマーン、カタール、ロシア、サウジアラビア、スリランカ、スーダン、スワジランド、イエメン
表決不参加国(黒)12か国: アルメニア、ドミニカ共和国、赤道ギニア、キリバツ、サントメ・プリンシペ、シェラレオネ、タジキスタン、ウズベキスタン、バヌアツ、ベネズエラ、ベトナム、ジンバブエ
【表決不参加国のなかには、会場に来ていながら不参加という形で立場・意思を示すことを選択したと思われる国々もありますが、人員等の都合で会場に来られなかった小さな国々も含まれています。】

 ついに採択にいたった条約について、この研究会メンバーの談話も通信社から配信されました

 3月交渉会議の最終版の2日間は、ここには書ききれないほどの動きがありました。そしてそれは、現在日本で報道されているような、単純な状況ではありませんでした。これから4月11日(木)の報告会までに、会議中の様々なノート等を見なおし、3月交渉会議での交渉やその決裂、そして4月2日国連総会に至るまでの、表に出ることのなかった様々な動きについて説明できるようにいたします。

(作成者:夏木碧 「武器と市民社会」研究会事務局担当。2003年より、国際NGOオックスファムにて人道/軍備管理・軍縮分野を担当。ATT関連の調査・研究や国内・国際会議の企画・調整等を行う。)

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